「絶対○○な家がいい!」それってほんと?住まいの条件、見直してみよう【後編】

これから家を買おうという時にテンションが下がってしまうようなお話ですが、
中古マンションの相場は10年上昇し続けているうえに今後、住宅ローンの金利が上昇する可能性も高まっています。
生活用品の値上げニュースが相次ぐ中、いくら中古といえど購入をためらいたくなるものです。
「だがしかし、家は必要だ!!」とお考えの皆さま。
こういった先の見えない状況で住まい探しをするなら、選択肢は多いに限ります!
今回は「広さ」「築年数」「予算」の3点から、条件見直しのポイントをご紹介します。
絶対にゆずれない条件はキープしつつ、ほかの条件で視点を変えてみると新たな出会いが生まれるかもしれません!

編集部
住まい探しの条件、何を見直す?
広さの見直し
専有面積の数字が大きい=広くて暮らしやすいとはいい切れません。
一例として、下記の間取りをご覧ください。
左の間取り図は専有面積・約63㎡、右は約69㎡の物件です。
面積の差は約6㎡もあります。
しかし、居室の帖数を比較すると、専有面積の小さい左の物件の方が2.4帖も広くなります(左:18.5+5.5+5.0=約29帖、右:14.6+6.6+5.4=約26.6帖)。
とくに今はLDKで過ごす時間が増えているので、18.5帖と14.6帖の違いは家族のくつろぎタイムに影響しそう。
「今住んでいる家が65㎡だから、65㎡以上は絶対!」と数字にこわだわりすぎると、左の物件には出会えません。
仮に同じ面積でも実際に広く感じるかは、
・柱や梁などの出っ張り
・天井の高さ
・窓の大きさや眺望
・床や壁の色(明るい色の方が広く見える)
などによって大きく異なります。
コンパクトでも広く見えて、暮らしやすい物件はたくさんあります。
「絶対〇㎡以上!」と数字だけで決めてしまうのは、もったいないかもしれないですね。
築年数の見直し
物件の販売価格に影響が大きいのが、旧耐震か新耐震かということ。
旧耐震とは、1981(昭和56)年6月以前の古い耐震基準で建てられた物件を指します。

編集部
<ちなみに…情報>
旧耐震か新耐震かの線引きは完成年ではなく、建築確認のタイミングで決まります。
そのため、築年(完成年)が1983年の物件でも建築確認が81年6月以前であれば、旧耐震です。
築年が1982~84年ごろの物件は、旧耐震の可能性があるので不動産会社の担当者に確認しておきましょう。
「旧耐震物件はやっぱり不安…」とのお声をよくききますが、旧耐震物件の中には
・耐震診断で、新耐震基準をクリアしていると証明された
・耐震補強工事を行い、新耐震基準をクリアした
物件もあります。
こういった物件は「新耐震基準を満たしている」と認められているので、築年数が古くても安心感があります。
一方で、耐震診断も耐震補強もしていない物件は大地震に耐えられないのかというと、そうともいえません。
下記、(株)東京カンテイによる東日本大震災の被害状況報告をご覧ください。
<東日本大震災の耐震基準別被害状況>
被害状況 | 新耐震(全1233棟) | 旧耐震(全227棟) | ||
棟数 | 割合 | 棟数 | 割合 | |
被害なし | 630 | 51.1% | 108 | 47.6% |
軽微 | 456 | 37.0% | 75 | 33.0% |
小破 | 135 | 10.9% | 40 | 17.6% |
中破 | 12 | 1.0% | 3 | 1.3% |
大破 | 0 | 0.0% | 1 | 0.4% |
※東京カンテイ「東日本大震災 宮城県マンション 被害状況報告」より
※割合は小数第2位で四捨五入
新耐震・旧耐震で大きな違いは見られず、「新耐震なら絶対安心、旧耐震なら100%不安」といい切れない結果が出ています。
この結果を見て「旧耐震も意外と大丈夫」と思えたら、旧耐震物件を候補に入れると選択肢が広がりますね!
ただし、旧耐震物件は住宅ローン控除(※)をはじめとする税制優遇が適用されないケースも多いです。
販売価格が安いからといって、税金などの支払いを含めたトータルコストで見れば「期待したほどお得じゃない…」ということもあります。
※1981年12月31日以前に建てられた旧耐震物件で住宅ローン控除を受けるには「耐震基準適合証明書」が必要です。
「不安に感じるか」以外に、トータルコストも考えて検討してみてくださいね。
予算の見直し
予算設定は物件価格を目安にされることが多いのですが、管理費・修繕積立金を含めた月々のランニングコストで考えることをオススメしています。
管理費・積立金が3万円のマンションと2万円のマンションを比較してみましょう。
住宅ローンの借入額 | 月々の返済額 | 管理費・積立金 | 月々のランニングコスト |
4,000万円 | 約10.9万円 | 3万円 | 約13.9万円 |
4,370万円 | 約11.9万円 | 2万円 | 約13.9万円 |
※金利0.775%、35年返済で計算
管理費・積立金が1万円違うと、物件の予算が370万円アップしても、月々にかかる費用は変わりません。
予算に400万円近くの差が出ると、物件の選択肢がかなり広がるでしょう。
「予算的に無理…」と思っていた物件が候補に入る可能性も?!
また、4,000万円の物件を購入したとしても、
・諸費用(物件価格の7~10%が目安)も借りる(=貯金を手元に残せる)
・追加で自分好みのリノベーション工事を行う(=より理想の住まいへカスタマイズできる)
などの選択肢も生まれます。
管積金、安ければ安いほどいいよね?
予算に影響するとはいえ、管理費や修繕積立金を「安ければ安いほどいい」と考えるのは危険です!
あまりに安い物件は
・修繕工事に必要な資金が貯まっていない
・十分なメンテナンスができていない
・大幅な値上げや修繕工事時に追加金が必要になる
などのリスクがあり、将来的に不安をいだいてしまう場合もあります。
安さだけで決めずに、
・十分な積立金が貯まっているか(1住戸あたり100万円が目安といわれています)
・定期的に修繕工事が行われているか
など、マンションの管理体制が良好かどうか、よく確認が必要です。
【まとめ】理想の住まい探しは柔軟な視点で!
住まいに求める条件は十人十色。
一番ゆずれない条件を無理に変える必要はありませんが、ほかの条件で少し視点をずらすと素敵な出会いがあるかもしれません。
ついついネガティブに考えたくなってしまう時ですが、住まい購入ってとっても夢のある話ですよね。
柔軟な発想で、住まい探しを楽しんでいただけたら嬉しいです!
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