リノベ済みマンションの配管、全部変えてるわけじゃないってホント?

室内に入ると新築と変わらないくらいキレイに仕上がっているリノベーション済みの中古マンション。
「変えられるものは全部交換済み」と思いがちですが、実はそうではありません。
「変えてないなんて大丈夫なの?」と不安になるかもしれませんが、ご安心を!
今回はリノベ済みの中古マンションで安心して暮らすための「検査」についてお話しします。
リノベ済み=配管丸ごと交換済みじゃない!
SUUMOなどのポータルサイトを見ていると、販売物件の多くがリノベーションされており、「リノベーション済み」の中古マンションが当たり前になってきましたね。
とはいえ、同じ「リノベーション済み」をうたっていても、どこまでリノベーションしているかは物件によって異なります。
物件ごとに傷み具合や設備仕様が違うため、売主会社が物件の現状にあわせた適切なリノベーション工事を行っているからです。
どんなリノベーション工事をしているか、ざっくりと次の3段階にわけられます。
<リノベーション工事のレベル>
レベル1:クロスやフローリングの張り替え・水まわりの設備交換など、表面のみ新しくする(表装リノベ)
レベル2:配管や下地材など使える部分は残しつつ、表装部分を新しくする(フルリノベ)
レベル3:既存のものをすべて壊し、専有部のものはすべて交換する(スケルトンリノベ)
このように、表面的な部分だけを変えた物件もあれば、配管など含めて変えられるものはすべて新しくしている物件もあります。
リノベーション済みの物件だからといって、すべてが新しいわけではないんです。
そう聞くと、「検討中の物件は、どこまで工事してるの?」と気になりますよね。
しかし、工事内容の詳細は、販売チラシやWebサイトにはほとんど記載がありません。
詳細を知りたい場合は、
・不動産会社の担当にきく
・物件の仕様書が閲覧できる場合は、見せてもらう
などで、事前に確認しておきましょう。
全部交換するのが正しいとは限らない?
「どうせ工事するなら全部新しくした方がいいんじゃない?」といいたくなるかもしれません。
しかし、リノベーションの場合、全部新しくすることが正しいとは限りません。
例えば、配管の場合、昭和に建てられたマンションは鉄管(銅管)を使っていました。
鉄管はさびやすく寿命も短いため、これは交換が必要です。
一方で、その後普及した塩ビ管はさびることがなく、長持ちする素材です。
寿命が短い配管がそのまま使われていると怖いですが、寿命の長い配管まで、わざわざ交換するのはもったいないと思いませんか?
交換するものが増えた分だけ、材料費や工事費も余分にかかり、販売価格も高くなってしまいます。
さらに、「交換するものが増える=廃棄するものが増える」ということです。
使えるものを活用し産業廃棄物を減らすことは、環境負荷の低減にもつながります。
このように残しても問題ない部分はきちんと活かしつつ、安心して永く住めるリノベーション済みマンションこそ、質の高いリノベーションといえるのではないでしょうか。
安心できるリノベーションに欠かせないのは検査
「活かせるものはそのまま活用して、変えるべきところは変える。」
それが質の高いリノベーションだとお伝えしましたが、安心できる品質を保つには検査(インスペクション)が欠かせません。
売主会社が引渡しまでの間にどんな検査を行っているか、購入前に確認しておきましょう。
とくに重要なのが、リノベーション工事前の検査。
活かせる部分とそうでない部分をしっかりと見極め、適切な工事を行うために欠かせません。
また、売主会社が写真や仕様書などの工事履歴を残していると安心です。
記録が残っていれば、何かトラブルがあった際もスムーズに対応してもらえます。
第三者基準も参考に
売主会社による自社検査以外に、下記のような第三者基準や検査があります。
このような基準を満たしているかどうかも、リノベーション済みマンション選びの参考にしてみてくださいね。
R1住宅

R1住宅は、社団法人リノベーション協議会が定めた「優良なリノベーション」の統一規格です。
給排水管、ガス管などの重要インフラ13項目の検査基準をすべて満たした物件をR1住宅と呼びます。
さらに、リノベーション協議会のサイトから工事内容がわかる平面図や仕様書を確認できるようになっています。
安心R住宅

安心R住宅は、国土交通省が定めた中古住宅の認定基準です。
中古住宅に対する「不安」「汚い」「わからない」を取り払うためのしくみです。
専門家による検査をクリアした物件のみが「安心R住宅」として販売できます。
既存住宅瑕疵保険
既存住宅瑕疵(かし)保険は、第三者による検査と万が一の保証がセットになった保険です。
R1住宅や安心R住宅のような検査基準を定めたものではありませんが、保険加入時に第三者による検査を受けられます。
※実際の保険加入者は買主ではなく、売主です。業者が売主の場合、瑕疵保険を提供する保険会社に登録している業者の物件でないと保険に加入できません。事前に登録業者かどうか、ご確認ください。
【まとめ】「交換したか」ではなく「検査したか」がポイント!
新築のようにきれいに仕上がっているリノベーション済みマンションですが、工事の内容は物件によってさまざまです。
物件の状態を見ながら、それぞれの物件にあった工事がされています。
そして、この“物件の状態”を適切に把握するために欠かせないのが、検査です。
リノベーション済みマンションを買って永く安心して住むためには、工事の内容だけでなく、売主会社の検査体制もチェックしてくださいね!
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