マンションの管理費・修繕積立金ってどんなお金?

マンション購入時のランニングコストって何があるの?
マンションを購入した場合、ランニングコストとして下記の費用がかかります。
① 住宅ローンの返済(毎月支払う)
② 管理費(毎月支払う)
③ 修繕積立金(毎月支払う)
④ 固定資産税(毎年6月ごろに1年分をまとめて支払い。4回払いも可)
※上記のほか、駐輪場代、駐車場代(物件によっては駐車場修繕積立金も)、専用庭やルーフバルコニー使用料などがかかる場合がございます。物件ごとの詳細は、事前に不動産会社へご確認ください。
資金計画の際は、今の家賃と住宅ローンの月々の返済額を比較することが多いですが、それ以外のランニングコストも含めた試算が不可欠です。
今回はマンションの維持に欠かせないお金、管理費と修繕積立金について解説します!
購入時のチェックポイントもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
管理費・修繕積立金って何に使うの?
管理費も修繕積立金も、マンションの資産性を維持し、毎日快適に暮らしていくために必要なお金です。
不動産業界では、2つまとめて管積金(かんつみきん)と呼びます。
それぞれ、次のような役割があります。
管理費 |
マンションをきれいに保つための日々の管理に使われるお金。 共用部の水道光熱費、日々の点検・修理(軽微なもの)、管理人さんの人件費などに充てられる。 |
修繕積立金 |
将来の大規模修繕工事に備えた貯蓄。 外壁補修や防水工事、機器交換や修理等の大掛かりな改修を実施する際に使用される。 |
金額の目安は?
レインズの調査(※1)によると首都圏中古マンションの1戸当たりの平均金額は、
・管理費:12,480円(1㎡当たり197円)
・修繕積立金:11,474円(1㎡当たり181円)
・合計:23,954円(1㎡当たり378円)
でした(2022年度の値)。
ただし上記の修繕積立金は、国交省のガイドライン(※2)と比較するとやや安いかもしれません。
国交省のガイドラインでは、1㎡当たりの平均値は250~340円となっています。
※表:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(追補 令和5年4月)」より
こちらの値もあわせて参考にしてみてくださいね。
※1:(公財)東日本不動産流通機構「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2022年度)」
※2:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(追補 令和5年4月)」
物価高騰の波は管理費・修繕積立金にも影響する?
管理費の場合
基本的には一定ですが、管理会社の委託料、光熱費や人件費の高騰を受けて値上がりする場合があります。
修繕積立金の場合
管理費とは異なり、こちらは高確率で値上がりの可能性があります。
物価高騰とは関係なく、積立方法として築年数が経つごとに、段階的に値上げしていく「段階増額積立方式」を採用している管理組合が多いためです。
一方で少数派ですが、「均等積立方式」といって積立金の金額が一定のマンションもあります。
将来必要な修繕費用の総額を想定し、月々に割り戻して金額を設定しています。
どちらの積立方式が採用されているか、確認しておきたいですね。
管理費・修繕積立金のチェックポイントは?
管理費の場合
管理人さんの勤務形態を確認しておきましょう。
勤務形態には常勤・日勤・巡回・清掃のみがあり、巡回→日勤→常勤の順で管理費が高くなる傾向です。
常勤は費用が高い一方、24時間管理人さんがいてくれるため、防犯面で安心というメリットもあります。
また、共用部の施設(ラウンジやキッズルーム、プールなど)が豪華なほど維持費がかかり、管理費が高くなりがちです。
複数のマンションを比較して、ご自身が求めるサービスと金額が見合っているかを検討しましょう。
修繕積立金の場合
修繕積立金については、下記2点をチェックしておけると安心です。
① 値上げのタイミングがいつ頃になるか
② 1戸当たりの修繕積立金はいくら貯まっているか
① 値上げのタイミング
多くの場合、大規模修繕工事(13~14年に1回程度実施※)の前後で見直しが検討されます。
長期修繕計画で、大規模修繕工事の時期を確認しておきましょう。
また、直近の予定や計画(「○年○月から△△円に改訂」「管理組合で検討中」など)は、重要事項調査報告書や総会の議事録で調べることができます。
議事録には検討理由や具体的な金額、開始時期などの詳細が、重要事項調査報告書よりも細かく記載されています。
長期修繕計画や重要事項調査報告書、議事録をご覧になりたい場合は、不動産会社の担当にお伝えくださいね。
② 1戸当たりの修繕積立金
1回の大規模修繕工事を行うために、1戸当たり100~125万円必要とされています(※)。
直前の大規模修繕工事をいつ行ったかにもよりますが、積立金の合計金額を総戸数で割って目安となる金額がたまっているか計算してみてください。
修繕積立金の総額は、重要事項調査報告書で調べられます。
※国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」より“修繕周期”の中央値および“戸あたり工事金額”の最多割合
【番外編】 値上げ防止策として「借入」も
修繕積立金を値上げしないために、大規模修繕工事のタイミングで金融機関から借入を行う管理組合も珍しくありません。
借入にはよくない印象を抱くかもしれませんが、月々の負担は増やさず必要な管理を維持するための有効な手段です。
マンションの借入についてくわしくは、こちらのコラムでご紹介しています。
気に入ったマンションに借入があった、マンション購入後に借入の話が出るなんて可能性もあるので、ぜひご一読ください!
管理費・修繕積立金が安い物件を選んでも平気?
安いなりのメリットとデメリットがあるので、一概に「安い方がいい」とはいえません。
まずは、安く抑えられた場合のメリットからご紹介します。
管理費・修繕積立金が3万円のマンションと2万円のマンションを比較してみましょう。
住宅ローンの借入額 | 月々の返済額 | 管理費・積立金 | 月々のランニングコスト |
4,000万円 | 約10.9万円 | 3万円 | 約13.9万円 |
4,370万円 | 約11.9万円 | 2万円 | 約13.9万円 |
※金利0.775%、35年返済で計算
上記のように管理費・積立金が1万円違うと、物件の予算を370万円増やしても、月々にかかる費用は変わりません。
予算が400万円弱変わると選べる物件の選択肢が増えるため、よりご自身に合った住まいが見つかりやすくなります。
一方で、安さを優先しすぎると
・必要な修繕工事を実施できていない
・将来的に大幅な値上げや一時金の支払いが必要になる
といったリスクがあります。
金額の安さだけで判断せずに、
・十分な修繕積立金が貯まっているか
・定期的に修繕工事が行われているか
など、マンションの管理体制をよく確認しましょう。
物件の条件も管理体制も、暮らしの満足度に大きく影響します。
多角的な視点で比較し、ご自身が安心して購入できるマンションを選んでくださいね。
【まとめ】管積金は快適な暮らしや資産性を守るために必要なコスト!
管理費・修繕積立金はどちらも、マンションという共同住宅で誰もが気持ちよく暮らし、将来にわたって安心して住み続けるために必要なお金です。
また、日々の管理状態(簡単にいうと見た目)は資産性にも大きく影響します。
ご自身が購入した住まいを守るためにも、管積金も問題なく払い続けられるようなランニングコストをふまえた資金計画を立てましょう。
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