買いたい物件が見つかった!それからどうする?

新築・中古に限らずいえることですが、マンションはほしいと思った物件が見つかってもすぐに買えるわけではありません。
高額な買い物なので「やっぱりやめます」とならないように、買主の「この物件を買います」、売主の「あなたに売ります」という意思確認が入ります。
住宅ローンを利用する場合は、審査に通るのかどうかの確認も必要です。
今回は買いたい物件が見つかったあとのやるべきことについてお話しします。
どんなことをするのか、どうすれば少しでも有利になるのかを知って、来たるべき物件との出合いにそなえましょう。
購入申込書を提出しよう

買いたい物件が決まったら、まずやることは「購入申込書」の記入です。
購入申込書は、買付証明書と呼んだりもします。
購入申込書って何?
購入申込書は「この物件を買います」という買主の意思表示です。
不動産は高額な取引なので、口約束だけだと買主も売主も不安に思うもの。
きちんと書面で残しておくことで「いった・いわない」のトラブルを防ぎます。
購入申込書には何を書くの?
申込書には、次のようなことを記入します。
<記入事項>
・購入価格
・契約希望日
・決済(引渡し)希望日
・手付金の額
・住宅ローン利用の有無
・住宅ローンの借入額
・自己資金額
・年収
・勤務先
など
上記のほか、病気の有無や勤続年数(住宅ローンの借り入れに影響するため)などの項目がある場合もあります。
手付金の額や住宅ローンの借入額を記入しますので、事前に資金計画をしっかり立てておきましょう。
購入申込書の素朴なギモン

ここからは購入申込書に関するよくあるギモンにお答えします。
申込はキャンセルできる?
はい、キャンセルできます。
購入申込書は売買契約とちがって法的な拘束力はありません。
申し込みを断ったからといって、違約金などが発生することもありません。
絶対的なものではないので、条件が合わなければ売主から申し込みを断られることもあります。
ただ、キャンセルできるとはいっても「とりあえず」でやみくもに出すのは、マナー的にあまりよくありません。
「絶対買いたい!」と思える物件で申し込みましょう。
値引き交渉ってできるの?
購入申込書の購入価格の欄に、購入したい額(指値といいます)を書いて交渉することができます。
とはいえ、そもそも値引きできないケースも多々あります。
とくにリノベ済みマンションは、交渉自体を受け付けないことも。
また、値引き交渉の注意点として、
- 交渉中に、よりよい条件を提示したほかの申込者に決まってしまう
- 大幅な値引き交渉をすると売主に嫌がられ、買えなくなってしまう
ということもゼロではありません。
「少しでも下がったらラッキー!」くらいの気持ちで交渉してみましょう。
また、値引き前提で考えるより、まずは金額関係なく住みたいと思える物件を探すことが大切です。
1番手、2番手って何?
1番手、2番手とは、売買交渉の優先順位のことです。
複数の申し込みがあった場合、売主は「だれと交渉するのがよいか」、買主の提示した条件を見て決めます。
注意しないといけないのは、1番・2番といっても必ずしも申し込み順で決まるわけではないということです。
申込1番目の人が住宅ローン、2番目の人が現金一括で申し込んだ場合、申込が2番目の人を1番手にすることもあります。
番手は売主の考え次第で決まるものなので、明確なルールがありません。
支払い方法のほか、手付金の額や契約・決済日などの条件も影響します。
住宅ローンを利用するなら事前審査も忘れずに!
購入申し込みとセットで必要なのが、住宅ローンの事前審査です。
事前審査は、問題なく住宅ローンが借りられるかの簡易的な審査のこと。
ちゃんと支払いができる人物であることを売主に示すため、事前審査の結果が必要になります。
1点モノの不動産は、いわゆる“キープ”ができません。
購入申込書を出しても、事前審査の結果なしでは物件を押さえることができないのが一般的です。
買いたい物件が見つかったらすぐに審査ができるよう、準備しておきましょう。
<事前審査に必要な書類>
・本人確認書類(運転免許証、保険証など)
・収入を証明できる書類(前年分の源泉徴収票または過去3年分の確定申告書)
・物件資料(チラシ、販売図面、物件概要書など)
・借入金の残高証明書(ほかで借入がある場合)
など
事前審査の注意点

事前審査の注意点についても確認しておきましょう。
事前審査って先にやっておいた方がいい?
はい、やっておいた方がいいです。
なぜなら、先に出しておくことでほかの人に買われるリスクを減らすことができるからです。
先にお話したように、購入申込書と事前審査の結果はセットでないと物件を押さえることができません。
絶対ほしいと思った物件に出合っても、結果待ちの間に売れてしまうことがあります。
タッチの差で買えなかった、なんて悔しいですよね?後悔しないために、先にやっておきましょう。
また、本命以外の第2・第3候補の物件でも事前審査しておくことをオススメしています。
理由としては、
・万が一、本命が買えなかったときにすぐに次の手が打てる
・月々の返済額など、金銭面の具体的な比較ができる
からです。
事前審査をしたからといって、必ずその物件を買わないといけないといったルールもないので安心してくださいね。
<事前審査は資金計画にもオススメ!>
上記は、具体的な候補物件が出てきた段階のお話ですが、資金計画の段階でも一度、事前審査をしておくことをオススメします。
なぜかというと、自分の適用金利がわかるから。
住宅ローンの金利は個人の年収や勤務先など、個人の条件によって変わります。
広告に「月々の返済目安△△万円! ※金利0.5%の場合」とあっても、金利0.5%が自分にも当てはまるかわかりませんよね。
事前審査で自分の適用金利がわかれば、より具体的に資金計画が立てられるようになります。
(※金利は物件のスペックにも左右されるので、あくまで目安として参考にしてください。)
また、同じ物件・同じ条件で申し込んでも、銀行が変わると適用金利も変わります。
複数の銀行で出してみましょう。
ちがう物件の審査結果でも大丈夫?
事前審査は買主の情報以外に、物件の簡易審査も一緒に行います。
同じような価格の物件でも、売主から「該当物件で申請し直してください」といわれることがほとんどです。
買いたい物件の事前審査結果を提出するようにしましょう。
事前審査はどの銀行に出してもいい?
どこに出すかはもちろん自由ですが、仲介会社または売主業者を経由してメガバンクで出しておくのがオススメです。
理由としては、
- 仲介/売主経由:担当者が事前審査の手続きに慣れており、確実かつスピーディーに対応できる
- メガバンク:審査の精度が高く、売主の信用度が高い=より確実に購入できる人と思われる
といった点があげられます。
フラット35やネット銀行で事前審査を出すのはダメ?
ダメではないのですが、信用度の問題でメガバンクにしておくのが無難です。
避けた方がいい理由は、次の通りです。
フラット35
・事前審査の段階では簡易的なチェックしかしないことがあり、本審査が「通らない」「満額借りられない」となるケースが多い=審査の信ぴょう性が低い。
・事前審査がOKでも、売主側で担当者に「本審査もクリアできる人物か」を改めて確認することがあり、確認中に条件のいい人が申し込んだら、その人に買われる可能性がある。
ネット銀行
・個人の信用情報は確認しても物件の担保価値は見ないなど、簡易的な審査のことが多い。フラット35と同様、事前審査はOKなのに本審査が「通らない」「満額借りられない」ケースが多く、審査の信ぴょう性が低い。
・売主によっては「本審査まで通してください」といわれることも。本審査の結果を待っている間に売れてしまう場合がある。
フラット35もネット銀行も、事前審査の信ぴょう性が低いことが大きなネックになっています。
事前審査がOKでも本審査NGになってしまうと、売主は買主探しから再度はじめないといけません。
1日でも早く確実に売りたい売主にとって、事前審査の精度が低いフラット35とネット銀行は敬遠されがちです。
ただ、メガバンクがオススメなのは、あくまで売主に提出する事前審査の話。
契約後の本申し込みでは、ネット銀行でもフラット35でもOKです。
複数のプランや銀行を比較して、有利な条件で契約できる銀行を選びましょう。
【まとめ】計画的に準備して来たるべき物件との出合いに備えよう!
今回は、買いたい物件が決まったらやるべき「購入申込」と「事前審査」についてお話ししました。
すべて1点モノの不動産。
とくに人気物件の場合は、ちょっと迷ったり、交渉したりしている間に売れてしまうこともあります。
「ほしい!」と思える物件が見つかったとき、少しでも迷いなく動けるよう
- 手付金の額、住宅ローンの借入額を決めておく
- 事前審査を先にやっておく
といった準備を進めておいてくださいね。
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