リノベーションマンションの種類。リノベ済みと中古+リノベはどう違う?【後編】

最近よくきく「リノベーション」。
マンション購入の際に、新築か、中古か以外にリノベーションマンション(リノベマンション)を検討する人が増えています。
ただ、リノベマンションといっても、2つの種類があるのをご存知ですか?
今回は、リノベマンションについてのお話・後半戦です。
前編は関わっている人の違いに注目してお話ししましたが、後編はそれぞれのメリット・デメリットを中心にお伝えします!
中古+リノベのメリット
まずは中古+リノベのメリットから見ていきましょう。
自分好みに仕上がる

やはり一番のメリットは自分好みに仕上げられることですね。
間取りや内装デザイン、素材など、細部にわたって自分の理想を実現することができます。
物件の現況、工事内容を把握できる
工事前の段階から確認できるので、物件の現状・工事内容をしっかりと把握できます。
見えない部分への不安をクリアにできるので、安心して永く住み続けられますね。
希望のエリア・物件を選べる
住みたいエリアや物件を選んでリノベーションできるのも、中古+リノベの魅力です。
リノベ済みが希望のエリアで販売されるかわかりませんし、売り出されていても内装が好みに合わないということもあります。
内装だけでなく、「あのマンションに住みたい!」と物件にこだわりたい人にもオススメです。
中古+リノベのデメリット
次は、中古+リノベのデメリットを見ていきましょう。
時間と手間がかかる
リノベーションプラン完成のために、打ち合わせは少なくとも2回、期間は1~2カ月程度かかります。
キッチンなどの住設備にこだわるなら、メーカーのショールームも見学に行きたいところ。
中古+リノベには時間や手間を惜しまない、家への情熱が必要です。
<ここでワンポイント!>
お部屋のデザインや設備仕様のベースが決まっている定額制リノベーションなら、部屋数などの基本的なヒアリングのみで、あとはリノベ会社におまかせ♪なんてこともできます。
これなら時間と手間を省きつつ、希望のエリア・マンションでフルリノベ物件に住めますね!
入居までに時間がかかる
工事完了までにだいたい2~3カ月かかるため、購入後すぐは住めません。
さらに、工事に必要な管理組合の許可がなかなか下りなかったり、解体後に大きな欠陥が見つかって追加の工事が必要になったり…
予想外の出来事で工期が伸びてしまうこともあります。
リノベ向き物件か判断が難しい
マンションごとに管理規約や構造が異なるため、どんなリノベーションでもできるわけではありません。
とくに水回りの移動をともなう間取り変更は、配管の関係もありプロでも判断が難しい部分です。
リノベーション費用がわかりにくい
リノベーション工事の相場は10~15万円ですが、こだわりたい内容によってそれ以上になることもよくあります。
しっかりとした見積もりをとらないと正確な費用がわからず、予算が立てにくいのです。
保証が手薄になりがち
リノベ済みとは異なり、個人が売主の中古物件にはほとんど保証がつけられていません。
保証期間は3カ月が一般的です。
民法以外に規制する法律がないので、当事者の同意があれば保証なしの契約もあり得ます。
この場合、リノベ業者の保証が頼りになりますが、それも基本は工事の施工箇所のみが対象です。
物件全体が対象になるリノベ済みと比べ、どうしても保証が手薄になりがちです。
リノベ済みのメリット
続いて、リノベ済みのメリットです。
手間がかからない

プロが住みやすさを考えてプランニングした物件が、すでに出来上がっています。
現代の暮らしにあわせた使いやすい間取り、どんなテイストにもあうデザインでつくられているので、自分で考える手間が省けます。
すぐに入居できる
工事が終わっている場合、すぐに住みはじめることができます。
賃貸の更新時期やお子さんの入学を機に購入を考えているなど、引っ越しのタイミングに制限がある場合はリノベ済みがオススメです。
資金計画が立てやすい
リノベ済みの販売価格には、工事費用も含まれています。
販売価格+諸費用のシンプルコストで、資金計画が立てやすくなります。
買取再販業者の保証が受けられる
リノベ済みの物件には、売主である買取再販業者の保証やアフターサービスがついています。
保証やアフターサービスの範囲・期間は売主によって異なるので、購入前に詳細を確認しておきましょう。
また、売主独自の保証とは別に、法律(宅地建物取引業法)で引き渡し日から最低2年間の保証も義務づけられています。
リノベ済みのデメリット
リノベ済みのデメリットは次の通りです。
自由度が低い
完成しているものの中から選ぶことになるので、「ここに棚があったら」「壁の色が違ったら」と好みにあわない点がどうしても出てきます。
狭い範囲なら追加工事をして自分好みに変更できますが、工事の規模が大きくなるようなら中古+リノベを検討した方がいいでしょう。
工事前、工事中の状態が分からない
工事前の状態がどうだったか、どのような工事がされたのか、すべて終わってしまうとわかりません。
解体して不具合が見つかったのに、きちん補修されなかった場合、あとからトラブルになることがあります。
価格に見合ったリノベがされているか判断が難しい
リノベ済みの中にはフルリノベーションといいながら、表装を変えるだけの簡易的な工事で済ませているものもあります。
工事内容を反映した価格でかつ工事内容に買主が納得していればいいのですが、工事内容が適切かは見た目だけでは判断できません。
価格に見合った工事がされているか、施工箇所を確認しましょう。
共通の注意点
中古+リノベとリノベ済み、どちらにするか関係なく、注意していただきたい購入時のポイントをお伝えします。
①玄関ドア、サッシ、ベランダなどの共有部分は変えられない

玄関ドア、窓・サッシ、ベランダは共有部分です。
自分でリノベする場合も、リノベ済みを購入する場合も関係なく、勝手に変更することはできません。
玄関ドアやサッシは見た目の統一感を壊さないため、ベランダは避難経路の確保が主な理由です。
変更したい場合は、管理組合の許可が必要になります。
自由にできる場所だと勘違いしやすい部分なので、注意してくださいね。
②長期修繕計画・大規模修繕工事の有無など、管理体制のチェック
「マンションは管理を買え」という言葉があるほど、マンションの安全性は管理状態にかかっています。
長期修繕計画や大規模修繕工事の有無を確認しておきましょう。
修繕計画が作成されていないマンションや積立金が不足し、修繕工事が延期になっているマンションもあります。
このほかにも、ゴミ置き場や駐輪場、集合ポストがきれいに整理されているかもチェックしてください。
管理体制はもちろん、住民のマナーや住まいへの愛着があるかもうかがい知ることができます。
③旧耐震について知っておく
1978年の宮城県沖地震を受けて、1981(昭和56)年6月に建築基準法が改正されました。
そのため、81年6月以降に建築確認を受けた建物を新耐震、それ以前に建築確認を受けた建物を旧耐震といって区別しています。
旧耐震物件は不安と思われる方も多いと思いますが、旧耐震物件にも実はいろいろあります。
① 耐震診断をして、新耐震基準をクリアしているとわかった物件
② 耐震診断をして補強工事を行って、新耐震基準をクリアした物件
③ 耐震診断はしていないが、計画的に修繕工事をしている物件
上記のような、管理が適切にされているとわかる物件は「旧耐震だから…」と避けるのはもったいないです。
「いや、③は耐震診断してないじゃん!」とつっこみたくなりますが、耐震診断は数百万単位で費用がかかるため、やっていないマンションの方が多いのが実情です。
耐震診断は実施していなくても、
・修繕工事にきちんと予算を使い、計画的にメンテナンスしている
・オートロックや宅配ボックスの導入など、住民のニーズに合わせて設備をアップデートしている
など、きちんと管理されているマンションの方がずっと住みやすいはず。
旧耐震だからNGと決めつけないで、総合的に判断できる知識を身につけたいですね。
<ここでワンポイント!>
「築年月が1981年6月以降の物件は新耐震」と誤解されやすいのですが、正しくは「建築確認が1981年6月以降の物件は新耐震」です。
正しい | 建築確認が1981年6月以降の物件は新耐震 |
誤り | 築年月が1981年6月以降の物件は新耐震 ⇒旧耐震の可能性あり! |
旧耐震・新耐震の判断が建築確認の年月で変わるのに対し、物件情報には築年月しか掲載されないので、こういった誤解が生まれやすいんだと思います。
マンションは完成まで2年近くかかるものもあり、築年月が1981~82年の物件は旧耐震の可能性が高いです。
1983年になれば新耐震の可能性が高くなりますが、1981~83年の物件は担当者に確認をとるようにしましょう。
【まとめ】それぞれの違いを知って、自分に合うリノベマンションを選ぼう!
前後編の2回で、中古+リノベとリノベ済みの違いをお伝えしてきましたが、いかがでしたか?
どちらにもいい点・悪い点があるので、どちらがあなたの価値観に合うかを考えておくことが大切です。
自分にぴったりのリノベマンションを選んで、楽しいリノベライフをスタートさせましょう!
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