購入前に調べておきたい大事なこと。重調?長期修繕計画って?

「内装も立地も気に入るマンションが見つかった!不動産屋さんもいいマンションだっていってたし。契約します!」
気に入るマンションが見つかって何よりですが、 でも、ちょっと待って!
本当に買ってもいいマンションなのか、ご自分でも調べておく必要があります。
「いやいや、不動産屋さんが大丈夫っていってたし」と思うかもしれませんが、不動産屋さんの大丈夫とあなたの大丈夫が同じとはいえないですよね?
契約書はいったんハンコを押してしまうと、簡単にはなかったことにできません。
「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないようために、今回は売買契約の前に確認しておきたい3つの大事な書類についてお話しします。
契約前に何を調べたらいいの?

契約前に必ず確認しておきたい書類は、次の3つです。
- 管理に係る重要事項調査報告書
- 長期修繕計画
- 管理規約
上記の書類でわかることは契約時に説明されることがほとんどですが、その場で「え?大丈夫なの?」と思っても「待った」はなかなか言いにくいもの。
契約時に不安にならないよう事前によく確認し、購入しても問題ないか検討しておきましょう。
①管理に係る重要事項調査報告書
マンションの管理会社が作成した資料で、略して「重調」といったりします。
管理状況やマンションのルールなど、マンションの全体像を把握できる説明書のようなものです。
②長期修繕計画案
メンテナンスの長期計画書案です。重調のように「長計」と略して呼んだります。
25~30年単位で「〇年目に××の工事を行う」など、いつどこをメンテナンスするかが計画されています。
修繕積立金をいつまでに、いくら貯めるべきなのか計画・目安にするためのツールです。
③管理規約
マンションで暮らしていく上での細かいルールを定めたものです。
共有部・専有部の範囲からゴミ出しのルール、理事長の決め方など、内容は多岐にわたります。
重要事項調査報告書でわかることも載っていますが、くわしい内容は管理規約にしか書いていないこともあるので一緒に確認しましょう。
どうやって確認するの?
3つとも、仲介会社または売主会社に依頼して取り寄せます。
どれも住みやすさにかかわる大事な書類なので、積極的にお願いして内容を確認するようにしましょう。
どこをチェックしたらいい?
以下の項目を各書類でチェックしておきましょう。
必ずチェックしておきたいこと

積立金の残高
- 確認する書類:重要事項調査報告書・長期修繕計画案
次の修繕工事までに必要な積立金が順調にたまっているか、確認しましょう。
金額は工事内容に大きく左右されますが、一般的に大規模修繕工事を1回行うのに1住戸あたり100万円貯まっていれば円滑に行えるだろうといわれています(マンションの規模により前後します)。
積立金に不足があるときは、工事のタイミングで追加金が発生する可能性があります。
滞納金、借入金の有無
- 確認する書類:重要事項調査報告書
マンションの資金運営が健全に行われているか、確認できます。
ただ、マンションの築年数が経てば、滞納金や借入金が発生してしまう可能性も上がります。
ナシなら良いマンション、アリなら悪いマンションとはいい切れません。
滞納金は、総戸数や滞納している世帯数とのバランスを見て判断が必要です。
滞納があるのが同じ1世帯でも、300戸あるマンションと20戸のマンションでは重みが違いますよね。
また、借入金アリも一概にNGではありません。
借り入れをしても適切な修繕工事ができるなら、その方が長い目で見たときに安心です。
借り入れができる=「担保価値がある、銀行が資産性のあるマンションだと判断した」という見方もできます。
逆に積立金がたくさん貯まっているのに、必要な修繕をしないマンションのほうが問題があるかもしれません。
管理費、積立金の値上げ予定
- 確認する書類:重要事項調査報告書
値上げが確定していないか、値上げの議論がされていないか、確認しておきましょう。
多くのマンションは、段階的に積立金が上昇していく方式を採用しています。
将来にわたって値上げゼロの可能性は低いですが、直近の予定がないかは知っておきたいですね。
積立金の相場(1㎡あたり200円前後)に対してあまりに安い場合、修繕工事に備えて大幅な値上げがあるかもしれません。
十分な積立金がなく、必要な修繕工事を先送りにしている可能性もあります。
積立金が安いことはメリットばかりではないので、注意が必要です。
修繕工事の履歴、今後の予定
- 確認する書類:重要事項調査報告書・長期修繕計画案
これまでにどんな修繕工事がされ、今後どんな工事が行われる予定なのか、メンテナンス状態が事前にわかるのが中古マンションのメリットです。
修繕工事だけでなく、
・光回線設備、オートロック、宅配ボックスなど、時代にあわせたアップデートをしているか
・共用玄関や植栽など、見た目に関わる部分もメンテナンスしているか
なども確認してみてください。
こういった点は、資産価値の向上やマンション管理に対する住民の意識の高さが表れる部分です。
マンション選びのポイントの1つに加えてみてはいかがでしょうか。
必要に応じて確認しよう

駐輪場・駐車場の空き、利用料
- 確認する書類:重要事項調査報告書・管理規約
車や自転車を利用している場合は、空きがあるか、月々の利用料はいくらかを調べましょう。
駐車場の利用料は2~4万円、駐輪場は200~1,000円程度が相場です。
駐車場は車種の制限があるマンションもあるので、お持ちの車が駐車できるかも確認してください。
ペット飼育のルール
- 確認する書類:重要事項調査報告書・管理規約
ペット不可の物件で飼おうとするのはもちろんダメですが、ペット可の物件でも頭数制限や種類、大きさの指定があることがあります。
動物が苦手な方も住んでいますし、のちのちトラブルにならないようよく確認しておきましょう。
テレビ、ネットの設備状況
- 確認する書類:重要事項調査報告書
とくにインターネット回線でのトラブルが増えています。
・インターネット対応しているのか
・光回線に対応しているのか
・プロバイダはどこか
・配線方式は何か
を事前に確認しましょう。
ただし、配線方式は重要事項調査報告書には記載なしのことが多いです。
とはいえ、配線方式が何かは通信速度に影響する重要なポイント。
不動産会社に確認もできますが、マンションで契約しているネットの提供会社に問い合わせるのが一番確実です。
また、光回線が通っているのはマンションの共用部までのことが多く、各戸で使うには個別に光回線工事が必要になります。

編集部
配線方式や光回線工事について、くわしく知りたい方はこちらのコラムをどうぞ!
ネット環境はマンションごとに大きく異なるので、事前チェックが欠かせません。
民泊、事務所利用の可否
- 確認する書類:管理規約
民泊は不可となっているマンションが比較的多いです。
不特定多数の人が出入りすることで防犯面のリスクが高まる、共有部のルールが守られなくなるといった点を懸念し、規約で民泊NGにしているようです。
住居以外の利用も考えている場合は、必ず確認しましょう。
中古+リノベするなら
工事に関する制限の有無
- 確認する書類:管理規約・工事細則
マンションによっては、フローリング禁止や水回り設備の移動禁止など、工事内容に制限があります。
また、工事を行うには管理組合の許可が必要になり、工事申請書を提出します。
この申請期間が長い場合はすぐに工事が入れないこともあるので、いつまでに申請するか確認が必要です。
(工事申請は、工事を行う内装業者が代理でやってくれることがほとんどですが、施主として把握しておきたいポイントです。)
【まとめ】失敗しないマンション購入は事前リサーチが大事!
今回は、購入前に調べておきたい重要書類3点についてお話ししました。
「いろいろ調べることがあって大変…」と思われたかもしれません。
しかし、積立金や長期修繕計画は永く安心して住むために、管理規約は毎日快適に過ごすために確認してほしい内容です。
内装や立地、間取りが理想の物件を買えたのに、マンション自体に問題があって手放すことに…なんて悲しすぎますよね。
事前によくリサーチし、安心で快適なリノベマンションライフをはじめましょう!
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