住宅ローン、不動産会社のオススメに決めて大丈夫?

オンライン住宅ローン比較サービス「モゲチェック」を運営する株式会社MFSが行った「住宅ローン選びの後悔」に関するアンケート調査結果によると、約6割の人が不動産会社のオススメする金融機関で住宅ローンを組んでいます。
このうち、「後悔している」と回答した人の割合は45.7%。
「不動産会社のオススメってよくないの?」と思いたくなる数字ですが、一方で、自分で選んだという人も41.3%は「後悔している」と回答しています。
結果を見る限り、どちらの場合でも後悔する人は一定数いるようですね。
今回は、「不動産会社のオススメ住宅ローンを選んでいいのか」についてお話しします!
購入前の事前審査は不動産会社にまかせよう

住宅ローン選びに欠かせないのが、住宅ローンの事前審査。
金融機関に簡易的な審査をしてもらい、「いくら借りられるのか」「金利は何%になるのか」を出してもらいます。
事前審査を行う目的は、大きくわけて2つ。
- 資金計画を立てる、契約する金融機関を選ぶため
- 物件価格を払えるだけの信用があると売主に証明するため
上記②の事前審査は、「住宅ローンが借りられる=問題なく購入できる」ことを売主へ示すために行います。
購入申込書を提出するタイミングで②の事前審査を行いますが、この事前審査で大切なことは、結果の正確さと結果提出までのスピードです。
どの金融機関の住宅ローンを利用するかは不動産会社と相談し、迅速に進めましょう。
不動産会社が提案する銀行は不動産会社が間に入り、スピード感が高い提携銀行(都市銀行)が多く
- 手続きにミスがなく、正確な結果が得られる
- 担当者が手続きに慣れていて、スピード感のある対応ができる
- 結果が出るまでのスケジュールを把握しやすい
など、売買契約までスムーズに進められます。
契約後はまかせっきりNG!自分でよく調べよう
売買契約が無事に終わったら、住宅ローンの本審査を行います。
住宅ローンは、希望額が借りられるならどこの金融機関で契約してもOKです。
「購入申し込みで出した事前審査の結果も悪くなかったし、住宅ローンってよくわからないし…」
本審査も不動産会社にまかせたくなる気持ちはわかりますが、それで本当に後悔しませんか?
不動産会社のオススメだけでなく、自分で選んだ金融機関にも申し込んで、より良い条件の商品を選びましょう。
0.数%にこだわって
もともと金利が低いので0.1%や0.2%の違いはたいしたことないと思うかもしれませんが、35年支払いが続くとなると0.数%でも大きな差になります。
4,000万円借りた場合、0.2%金利が変わると返済総額に150万の差が出ます(35年返済、金利0.775%→0.575%の場合)。
150万円あると下記のような費用が払えてしまいます。
「たかが0.数%」ですが、リターンは大きいですね!
<150万でまかなえる費用>
・5カ月分の生活費(全国平均約30.6万円/月)
・公立中学3年間分の教育費(約49万円/年)
・10回分の海外旅行費(約15.2万円/回)
※出典 (公財)生命保険文化センター
auじぶん銀行が最優遇金利が0.2%台になる金利引き下げキャンペーンを行う(※)など、金利勝負ならやっぱりネット銀行が強いです。
住宅ローン選びは金利だけの問題ではありませんが、0.数%の差にこだわって探してみましょう。
※2022年2月28時点の情報です。詳細はauじぶん銀行のホームページでご確認ください。
不動産会社が提案した銀行を採用するメリットは?
ここで、不動産会社が提案する金融機関を選ぶメリットもご紹介しておきます。
自分で選んだものと比較して、より条件のいい住宅ローンを選びましょう。
- メリット① 自分で申し込むより金利が低くなることがある
不動産会社が提携する金融機関の住宅ローンを申し込んだ場合、個人の信用や物件担保のほかに、不動産会社の信用も審査に加味されます。
自分で選んだ金融機関より低い金利が適用される場合があるので、必ず比較しましょう。
反対に、不動産会社が銀行と過去にトラブルを起こしていると、買主や物件の条件がよくても不動産会社が原因で金利が高くなることがあります。
不動産会社が違うだけで、金利に0.3%差が出た例も過去にありました。
当然といえば当然ですが、「うち(不動産会社)が原因です」とは教えてくれないので、やっぱり比較することが大事ですね。
- メリット② 条件やスケジュールの融通がききやすい
「勤続年数が短い」「他社で借り入れがある」など、審査が厳しくなりそうな人の場合、不動産会社の担当が銀行側にしっかりと説明を行うことで、銀行の担当者が
・審査機関への提言・作文提出をしてくれる
・上司に掛け合ってくれる
など、希望の借入額が借りられるようになる場合があります。
また、審査結果を優先的に出してくれるなど、柔軟な対応をしてもらいやすい点がメリットです。
金利以外にも注目!詳細を比較して

金利はわかりやすい比較項目なので、金利だけで選んでしまいがちですが、それ以外もしっかり比較しておきましょう。
比較ポイント① 安心して利用し続けられるか
返済期間が長い住宅ローンは、期間中に収入が減ったり、病気になったりといったリスクも高くなります。
返済が苦しくなった時のことも考えておきましょう。
金利の種類 |
・変動金利にするのか、固定金利にするのか ・変動金利なら、5年ルール、125%ルールはあるか ・固定金利なら、固定期間は何年にするのか、固定期間終了後の金利はどうなるのか ・金利方式の変更はできるのか |
団信や特約の内容 |
・残債がゼロまたは減額される要件は何か ・金利上乗せなしの保障内容は何か ・どのような種類の特約がつけられるか ・特約の上乗せ金利はいくらか |
比較ポイント② トータルの支払いがいくらになるか
月々の返済額も大切ですが、トータルの支払い額がいくらになるかという視点での比較も忘れてはいけません。
シミュレーションを使って、色々なパターンを比べてみましょう。
返済方式 |
・元利均等返済にするのか、元金均等返済にするのか ・元金均等返済なら、初期返済額は無理がないか ・ボーナス返済は利用するのか ・繰り上げ返済額の制限はあるか、手数料はかかるか |
ローン契約時の手数料 |
・融資手数料型か、保証料型か ・融資手数料型なら、手数料は一律固定か、借入額によって変動するか ・保証料型なら、保証料は契約時一括支払いか、金利上乗せか |
期日は厳守!事前リサーチで余裕ある本審査申込を
売買契約が終わってからゆっくり金融機関を検討しようと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、売買契約後はあまり時間がありません。
契約後のスケジュールは、下記の日程で進められることが多いです。
- 住宅ローンの融資承認取得期日(本審査を通さないといけない期日):売買契約から約2~3週間後
- 住宅ローンの決済日(物件の残金を支払って、引渡しを受ける日):売買契約から約1カ月後
本審査の結果が出るまでに1週間程度かかることもふまえると、金融機関探しからじっくりやる時間はあまりありません。
売買契約後すぐに審査申し込みができるよう、売買契約前に金融機関のリサーチを進めておきましょう。
さらに、ネット銀行は審査にかかる時間が長く、融資承認取得期日までに間に合わない可能性があります。
ネット銀行を利用する場合は、
・売買契約前に事前審査を済ませておき、契約後、すぐに本審査へ進める
(契約日中に審査申し込みをするくらいのスピード感が大事)
・ローン特約融資先(※)も合わせて本審査を行う
ようにしましょう。
スピーディーな対応と万が一、本審査に通らなかった時の備えが必要です。
※ローン特約融資先…住宅ローンの審査が通らなかった場合に、ローン特約を利用できる金融機関のこと。ローン特約融資先以外の審査が通らなかった場合は、特約融資先で住宅ローンを組んで購入します。
【まとめ】まかせっきりにせず、必ず比較を!
不動産会社が購入申し込みをする際に提案した金融機関が、必ず自分に合った良いプランとは限りません。
最終的にどの住宅ローンを選ぶかは、必ず複数の商品を比較して決めましょう。
35年の長いつき合いになる住宅ローンは、物件選びと同じくらい大切です。
「周りにオススメされたから」という理由だけで決断せずに、自分の目でしっかり比較したり、直接金融機関で話を聞いたりして自分に合った金融機関・プランを選んでくださいね。
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