フラット35ってどんな住宅ローン?どうやって借りるの?

「フラット35」
住宅ローンを検討し始めたら、一度はきく言葉だと思います。
「フラット35って、そもそもどんな住宅ローンなの?」
「普通の銀行で借りるのと何が違うの?」
「使える物件に条件があるってほんと?」
今回はそんな疑問を解消するための「フラット35って何ですか?」基礎講座です!
フラット35の特徴や使い方を知って、住宅ローン比較の参考にしてみてくださいね。
フラット35ってどんな住宅ローン?
フラット35は、独立行政法人・住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して扱っている、半官半民の住宅ローンです。
フラット35のおもな特徴をご紹介します。
金利は全期間固定金利一択

ご存知の内容かと思いますが、フラット35の金利は全期間固定のみ。変動金利はありません。
2022年6月の金利は1.49%~(最頻金利・融資率9割以下の場合)で、都市銀行の全期間固定と比べて金利が安い傾向です。
(固定金利は金利上昇のリスクを銀行が負うことになるので、35年固定を提供している銀行はあまり多くありません)。
借入期間は15~35年で設定できます。
フラット50という借入期間を50年までに設定できるプランもありますが、“長期優良住宅”という「長期間にわたって住み続けられる」と国が認定した住宅のみが対象です。
中古マンションではまだまだ一般的ではありません。
借入期間が20年以下の場合、フラット20が使えます。
フラット35に比べて金利が安くなっています(22年6月の最頻金利1.36%)。
審査基準がゆるやか
半官のローンなだけあって、借りられる人の間口が広い点も特徴です。
勤続年数、雇用形態などの個人の審査条件が、都市銀行に比べてゆるやか。
個人事業主・派遣社員といった正社員以外の働き方でも借りやすくなっています。
例①)個人事業主の場合
・都市銀行:確定申告3期分が必要
・フラット35:確定申告2期分でOK
例②)派遣社員の場合
・都市銀行:同じ派遣先に3年以上勤務
・フラット35:勤務1カ月後から審査OK
また、おそらくアルバイトでも借りられる唯一の住宅ローンです。
同じ年収でも借入額が増える
フラット35の審査金利は、審査月の最頻金利が使われます。
一方で、都市銀行の審査金利は3~4%が一般的です。
そのため、同じ年収でもフラットの方がたくさん借りられます。
例)年収500万円・借入35年・返済比率35%の場合
・フラット35:最大借入可能額 約4760万円(審査金利1.5%)
・都市銀行:最大借入可能額 約3790万円(審査金利3%)
借入額の差は約970万円。
金利の安さを優先するより、借入額を増やしたい人向けの住宅ローンですね。
(借入額優先ならろうきんも審査金利=適用金利のため、オススメです。ろうきんなら変動金利も選べます。)

編集部
審査金利とは銀行が「いくら貸してもよいか」を審査するための金利です。
貸付額を決めるための金利なので、広告でうたわれるような金利(0.475%など)とは異なる場合が多いです。
審査金利について、くわしくはこちらのコラムをどうぞ!
フラット35を使うなら、何に注意すべき?

①使える物件が限られている
フラット35は住宅金融支援機構が定めた基準をクリアし、検査を受けた物件でなければ使えません。
物件の検討段階で必ず「フラット35適合物件か」を確認してください。
フラット35が使えないって具体的にどんな物件?
・旧耐震(耐震証明書が取得できれば利用可。また、構造上問題がなければ、耐震証明なしでも使えることがあります。)
・ピロティ、混用構造(※)など、建物構造が基準にあわない
・1R(間取りは、2以上の居室が必要)
・長期修繕計画がない
など
※ピロティ…1階が駐車場になっているなど、柱がメインで支える構造になっている建物。
※混用構造…建物を壁面で支える「壁式構造」と梁と柱で支える「ラーメン構造」が両方使われている建物。
構造がミックスされていることで、地震などの大きな力が建物に加わった際に力がうまく逃げず、建物に負担がかかってしまいます。
②事前審査の通りにいかないことがある
フラット35は、住宅金融支援機構と金融機関それぞれが審査を行い、双方から〇/✕/留保のいずれかの結果が届きます。
「〇なら大丈夫でしょ?」と思いきや、〇でも本審査NGの場合があります。
なぜなら、事前審査では細かくチェックせず「くわしくは本審査で見る」スタイルだからです。
早いと即日、通常は翌営業日に結果が出ることから見ても、サラッとしか審査していないことがうかがえますね(都市銀行は2日~1週間程度)。
事前審査の結果が〇でも、本審査をクリアするまでは安心できません。
フラット35で契約するまでの流れ
フラット35が使える、買いたい物件が見つかったあとは、次のような流れで進みます。
①事前審査・購入申込
住宅ローンで物件を購入する場合、事前審査の結果と購入申込書をセットで提出する、というのが一般的です。
しかし、事前審査の結果が安定しないフラット35は、事前審査の結果では購入(売買契約)に進めません。
売買契約後、本審査で通らなかったとなると、買主も売主もそれまでの手間や時間がムダになってしまいます。
そのため「フラット35で買うなら、本審査まで進めてください」といわれるケースがほとんどです。
ただし、業者によっては機構・金融機関ともに〇の結果があれば、購入(売買契約)に進める場合があります。
事前審査の結果でも問題ないか、確認してみてください。
②本審査開始
本審査の結果が出るまで、早くて1週間程度かかります。

編集部
実際のところ、1週間程度で結果は出るのでしょうか?

コンサル部
最近は機構や銀行から確認が入ることが多く、追加資料の提出を求められることがままあります。
過去には、追加、追加で本審査が通るまで1カ月近くかかったお客様も。
1週間で出るケースの方が少ない印象です。
時間のロスを減らすためにも、必要書類は早めに準備をしておきましょう。
③本審査通過、売買交渉
本審査の承認結果が出てはじめて、契約日や引渡し日、手付金の額など具体的な交渉に進めます。
本審査まで進めないといけない分、結果待ちの間に、都市銀行利用や現金一括の人に買われる可能性があります。
④重要事項説明・売買契約
不動産会社から物件に関する重要事項説明を受けて、売買契約を交わします。
重要事項説明についてくわしくは、こちらのコラムをどうぞ!
⑤フラット35適合証明書発行依頼

適合証明書の発行依頼は、本審査が終わってからでないとできないため、売買契約後に行うことが一般的です。
証明書を発行してもらうためには、設計図などの書類審査と現地で行う目視の検査があります。
・発行手数料:50,000~60,000円(税別、マンションの場合)※1
・必要部数:1部あればOK※2
※1…私たちエフステージを通してお申し込みいただく場合の価格です。不動産会社によって手数料は異なり、また、お客様負担となります。
※2…機構・金融機関それぞれに提出する必要はありません。
ご自身で業者を探して依頼することもできますが、発行に必要な書類はすべて不動産会社が持っています。
こだわりがなければ、まかせてしまうのがオススメです。
⑥住宅ローンの契約
住宅ローンの契約のことを「金消契約/きんしょうけいやく(金銭消費貸借契約)」といいます。
この金消契約までに、適合証明書の原本が金融機関へ届いていないといけません。
不動産会社経由ならこの辺りは調整してくれると思いますが、ご自身で行う場合はお気をつけください。
また、フラット35は契約月の金利が適用されます。
審査と契約が月をまたぐと金利が変わる場合が多く、返済額が想定より増減する可能性があります(毎月0.0数~0.数%単位で上がったり、下がったりしています)。
⑦決済・引渡し
決済の翌月または翌々日から支払いがスタートします。
支払い時期は、決済日や金融機関のルールによって異なりますので、ご確認ください。
【まとめ】フラット35は審査に要注意!
フラット35は、本審査通してからでないと売買交渉に進めないのがデメリット。
とくに人気物件をねらう人は、結果待ちの間に買われてしまう可能性が高くなります。
借入額などの問題がクリアできるなら、事前審査は都市銀行で出しておいた方がスムーズです。
(ローンが通れば、実際にどの金融機関と契約するかは自由です。)
一方で、フラット35は
・都市銀行に比べて安い金利で35年固定の安心が得られる
・借りられる人の幅が広い
・年収に対して借りられる額が多い
など、メリットも多いです。
注意点を把握して、メリットを最大限活用してくださいね。
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