借入額を増やしたい!ペアローン・収入合算って何が違うの?

共働きの家庭が増え、ペアローンや収入合算について検討される方も増えてきました。
ペアローンや収入合算は、
- 理想の住まいを手に入れるには、予算が足りない場合
- ご夫婦2人とも安定した収入のある場合
- 収入はあるが、1人のローンだと借りづらい場合
などに有効な借り方です。
今回は、ペアローンと収入合算の違いやメリット・デメリットについてご紹介します。
それぞれの特徴を把握して、自分にあった借入額・借り方を考えてみましょう!
何が違うの?ペアローンと収入合算

ペアローンも収入合算も住宅ローンの借り方の種類です。
前提として、どちらを利用する場合も夫婦であることが条件です。
兄弟や事実婚ではペアローンや収入合算を使えません(※)。
※同性婚の場合、自治体の発行するパートナーシップ証明書などの書類を提出できれば、ペアローンや収入合算が利用可能な銀行があります。検討中の銀行へご確認ください。
新婚の場合、入籍前でも借入額の審査をしてくれる銀行はありますが、ローン契約までには入籍が必要です。
いつまでに入籍すべきかは銀行によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
ペアローンとは?
ペアローンは、夫婦2人がそれぞれローンを組む借り方です。
2人の収入をそれぞれ100%で審査してくれるので、借入額を一番伸ばすことができます。
「借入額を最大化させたい!」という方はペアローンがオススメ(とはいえ、借り過ぎは厳禁!)。
万が一の時はどうなる?
どちらかが亡くなった場合、亡くなった人の残債は団信によってゼロになりますが、自分の借入分は返済が続きます。
どちらか1人が亡くなると2人分の債務がなくなる「連生団信」もありますが、提供している銀行がほとんどありません。
2人で協力して返済していく意識はもちろん、1人になっても完済する覚悟が必要です。
また、離婚した場合、ペアローンは手続きが少し面倒になります。
ペアローンは、住宅ローンの借入額にあわせて持ち分が決まり、マンションが2人名義の共有財産になります(これはメリットですね)。
一方で共有のため、離婚となると1人の意思では住まいをどうするか、勝手に決められません。
住み続けるのか、手放すのかで意見が分かれると、もめる原因が1つ増えてしまいます。
収入合算とは?
主債務者(メインで借りる人)の収入に、もう1人(連帯保証人)の収入を加算できる借り方です。
どの程度加算されるかは、銀行や連帯保証人の雇用形態によって異なります。
また、収入合算というと収入(額面)だけ見るようなイメージがありますが、連帯保証人の個人信用情報も確認が入ります。
連帯保証人が過去に滞納などをしていると、希望額を貸してもらえません。
心配な人は2人分の信用情報を確認しておきましょう。
万が一の時はどうなる?
主債務者が亡くなると、残債がゼロになります。連帯保証人が返済する必要はありません。
しかし、連帯保証人が亡くなっても主債務者の返済は続きます。
主債務者1人では返済が苦しくなる可能性が高いので、連帯保証人の生命保険などを見直した方がいいかもしれません。
借入額を増やすならどっち?
借入額の増額が最優先:ペアローン
借入額を増やすことを最優先に考えるなら、2人の収入を100%見てくれるペアローンがオススメです。
ただし、銀行や個人の属性にもよりますが、
- 2人とも正社員
- 今後も同じように働いていく気持ちがある
といった条件を満たす必要があります。
また、住宅ローン控除を最大化したい時もペアローンがオススメです。
リノベーション済みマンションを購入する場合、1人の借入上限は最大で3,000万円。
これは4,000万円の物件を買っても、5,000万円の物件を買っても同じです。
ペアローンなら最大6,000万円の借入に対して控除が受けられます。

編集部
2022年4月から改正された住宅ローン控除の詳細は、こちらのコラムで!
借入額に少しだけ上乗せしたい:収入合算
諸費用分だけ借入額を増やしたいなど、借入額を少しだけ増やしたい場合は収入合算がオススメです。
ほかには、
・主債務者が転職直後や個人事業主で収入が安定しにくい
・今は2人とも正社員だが、1人は将来的に退職を考えている
など「借入は増やしたいけど、先の見通しが立てにくい」場合も収入合算が安心です。
また、1人が正社員、もう1人はパート・アルバイトで働いているなど、2人の雇用形態に違いがあるとペアローンより収入合算の方が借入額を増やせる場合があります。
産休・育休中でも使える?

育休証明書などの提出が必要ですが、休業中の場合でもペアローンや収入合算が使えます。
職場復帰を前提に、産休・育休に入る前の収入で借入可能額を試算してくれます。
銀行によって必要書類や条件が異なるため、何を提出すべきか確認しておきましょう。
<必要書類一例>
・産、育休に入る前の年の源泉徴収票(休業期間のない1年間の源泉が必要)
・直近の給与、賞与明細(3~12か月程度)
・産、育休証明書
・復帰後の給与明細
など
ほかに借入額を増やす方法は?
2人でローンを組むことに不安を感じる場合、審査金利が低い金融機関の住宅ローンを利用する方法もあります。
都市銀行の審査金利は3~4%が一般的です。
一方で、フラット35やろうきんなどの金融機関は審査金利が低く、同じ年収でも借入額を増やせます。
年収500万円の場合の審査金利別、最大借入可能額を比較してみましょう。
審査金利 | 最大借入可能額 |
0.6% | 約5,520万円 |
1.5% | 約4,760万円 |
3.5% | 約4,760万円 |
※35年返済、返済比率35%で計算
注意点として、1人でもたくさん借りられる代わりに適用金利が高くなります(つまり、月々の返済負担が増える)。
0.3、0.4%台といった超低金利は、都市銀行やネット銀行ならではの魅力。
1人で組むことを優先するか、適用金利が安くなることを優先するかでも、どんな住宅ローンを選ぶべきかが変わります。
万人に当てはまる正解はないので、最長35年の間、気持ちよくつき合える借り方を選びましょう。
【まとめ】借入増=住まいの満足度も万が一のリスクもUP!
共働き世帯が増えたことで、最初からペアローンや収入合算を検討しているご夫婦も増えています。
予算が増えると物件の選択肢が広がって、より満足度の高い住まいを手にできます。
何十年と住む場所なので、ケチケチしすぎて「買わなきゃよかった…」と後悔したくないですよね。
一方で借入が増えると、返済が困難になるリスクも上がります。
あまり考えたくないと思いますが、万が一の
・離婚
・死別
・今まで通り働けなくなった時
のことも考えて、住宅ローンの借り方を決めてくださいね!
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