住宅ローンが組みにくい物件ってあるの?

【結論】住宅ローンが組みにくい物件はあります!
住宅ローンの審査では個人の属性(年収、借入時・完済時の年齢、雇用形態など)はもちろん、物件の属性(築年数、広さ、価格など)もチェックされます。
そのため、物件の条件によっては
・そもそもローンが借りられない
・借入希望額から減額される
・金利が高くなる
といったことが起こります。
住宅ローンが組みにくいのはどんな物件?
銀行によって判断が異なりますが、下記のような物件が該当します。
組みにくくなる理由は?
組みにくくなる理由は大きく、次の2つです。
①投資目的ではないかと思われるから
▶物件の面積が30㎡以下(物件の面積は原則、登記簿が基準だが、専有面積でOKな銀行もあります)
▶間取りが1Rや1K
の場合、賃貸物件として貸し出すつもりではないかと疑われ、ローンが組みにくくなります。
さらに、
・駅近
・マンション内で賃貸に出されている部屋が多い
などの条件が重なると、余計に難しくなります。
住宅ローンが0.数%の超低金利で借りられるのは、あくまで“自宅購入”が目的だから。
投資用ローンは金利2%台のものが多く、住宅ローンを悪用する人がいるので、銀行も警戒するのです。
②将来の資産性が心配だから
銀行は万が一、返済が滞った場合に、物件を売却して資金回収ができるか、担保として価値があるかを見ています。
次のような条件に該当し管理体制やリセールに不安があると、担保評価が下がり、ローンが組みにくくなります。
管理体制への不安
マンションの資産価値を保つには、適切な管理が欠かせません。
▶自主管理:管理のプロ(管理会社)なしで適切に管理できるの?
▶総戸数10~20戸以下:修繕工事のための積立金が貯まらないのでは?
と思われ、融資を断られやすいです。
リセールへの不安
▶耐震診断NGだった旧耐震物件:
「耐震診断NG」とは、耐震診断を行って新耐震基準に適合せず、耐震補強工事が必要と判断された物件のことです。
・補強が必要とわかっているのに、何もしていない(管理組合の姿勢を問題視)
・大きな地震で損壊する可能性が高い(資金回収ができなくなる)
ため、銀行は融資を避けます。
▶再建築不可物件:
築年数が古い物件だと、今のルールでは建物を建てられない土地にマンションがある場合があります(※建築基準法の施行や改正にともなうもので、当時のルールでは問題のない建物です)。
そういった物件は、建て替える・マンション以外の施設を建てるといった選択肢が持てず、土地の寿命=建物の寿命となってしまいます。
永く住めないとわかっているマンションを、わざわざ買う人は少ないですよね。
これも「資金回収が難しい」と判断されるため、ローンが組みにくくなります。
▶土地の権利関係が複雑:
マンションの敷地は原則、各住戸の所有者とイコールですが、
・敷地の一部(駐車場など)を第三者(分譲会社や管理会社など)が所有している
・敷地の一部に借地権、抵当権が設定されている
ことがまれにあります。
土地と建物の所有者が一致しないなどの権利関係が複雑な土地は、
・「土地を返してほしい」といわれる
・建て替え時に居住者(所有者)以外の許可がいる
などのトラブルに発展する可能性があります。
トラブルになるリスクを避けるため、銀行はマンションの権利関係もチェックしています。
▶内装費をかけすぎている:
いくら内装が豪華でも、相場とかけ離れた価格の物件は銀行も避けるようです。
購入当初はリノベーション分の付加価値が高くても、時間とともにだんだんと価値は下がっていきます。
内装費の付加価値が下がった時に、融資した分を回収できない可能性が高いと銀行が判断するため、住宅ローンが組みにくくなります。
住宅ローンが組みにくい物件、買っても大丈夫?
なぜ組みにくいのか理由を確認して、リスクに納得できれば買っても問題ありません。
住宅ローンの組みにくさと住みやすさは一致しないからです。
ローンが組みにくい(=売れにくい)とわかっている物件は相場より安い場合も多く、お得に買えることも!
とはいえ、理由をあいまいにせず丁寧に説明してくれる不動産会社から買うようにしてください。
また、今は8割の人が住宅ローンを使って家を買っています(※)。
住み替え前提で買う人には、売却に時間がかかってしまうのでオススメしません。
※三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2022年)より
住宅ローンが組みにくい物件を買う時の対策はある?
①頭金を入れる
頭金(自己資金)を入れることで、
・計画的な購入である
・自分で住むための購入(投資目的ではない)
と銀行へアピールできます。
また、必然的に借入額が減るので、万が一返済できなった場合も「費用回収できる」と判断されやすくなります。
②「なぜその家が必要なのか」を説明する
銀行は、
・最後まできちんと返済してくれるのか
・投資目的で買うつもりではないか(投資なら投資用ローンを使ってほしい)
を審査で見ています。
そのため、
・実家が近くにあるから
・エリア内の保育園に子どもが通っているから
・職場までのアクセスがよくなるから
など、その家が必要な理由を明示して銀行の不安を解消しましょう。
不動産会社経由で銀行側の担当者へ話してもらうとよいですね。
※実店舗のないネット銀行は、この方法が使えません。また、いくら理由があっても「1LDKに4人暮らし」など、間取り(面積)と家族構成の組み合わせが現実的でないと判断されると審査が通らない可能性が高いです。
③“通りやすい”銀行に申し込む
住宅ローンの審査基準は、銀行によってさまざまです。
同じ物件でも「A銀行はNGだったのに、B銀行ならOKだった」という話はよくあります。
物件の販売元である売主の不動産会社なら通りやすい銀行を知っているので、相談してみましょう。
④個人の属性で解決できる場合も
銀行の優先順位は、個人の属性>物件の属性の場合がほとんどです。
個人の属性が
・公務員や大手上場企業勤務など、安定性が高い
・勤続年数が長い
・自己資金が多い
などの場合、ローンが組みにくい条件に該当する物件でも借りられる可能性が高いです。
【まとめ】理由を探って納得できる購入を!
住宅ローンが組みにくい物件=住みにくい物件ではありません。
立地に優れていたり、管理体制がしっかりしている物件も多く、見た目や住み心地への影響はあまり感じられないでしょう。
しかし、組みにくいなりの理由が必ずあります。
購入した場合にどんなリスクがあるのかをよく理解し、納得できる物件を購入しましょう。
不安な場合は、信用できるプロ(不動産会社)へ相談してくださいね。
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