住宅ローンの基礎知識!固定・変動以外の「○○金利」って?

住宅ローンの金利といえば、固定金利と変動金利は有名ですよね。
・固定金利:返済期間中、ずっと金利が変わらない
・変動金利:市場の変化にあわせ、金利も上下する
という性質をそれぞれもっています。
※固定金利・変動金利について、くわしくはこちらのコラムをどうぞ!
固定金利にするべきか、変動金利にするべきかを多くの人が迷いますが、実際に何%の金利が適用されるか、どうやって決めているのでしょうか?
そもそも銀行はいくら貸していいかをどうやって決めているのでしょうか?
今回は、
・固定や変動金利の住宅ローンを金利何%で借りられるか
・いくら貸してもらえるのか
を知るための金利についてお話しします。
変動か固定かを決める前に、まずはどうやって金利が決まるかを知っておきましょう!
いくら貸してくれるの?を知るための金利

住宅ローンを借りるのに、銀行の審査が必要なことはもうご存知ですよね。
銀行がこの審査を行う時に使う金利を「審査金利」といいます。
実際に何%で審査しているかは銀行ごとに異なり、公開されていませんが、一般的に3~4%くらいといわれています。
「3~4%って高くない?広告に『変動0.4%~』とかって書いてあるけど、それでは計算しないの?」と思われるかもしれませんね。
しかし、広告の金利で審査してしまうと借り過ぎになってしまい、返済できなくなる可能性が高くなります。
年収500万円の人を例に、金利0.4%と3.5%で計算した場合を見てみましょう。
<年収500万円の場合>
|
借入可能額 |
年収の何倍? |
金利0.4% |
約5,700万円 |
11.4倍 |
金利3.5% |
約3,500万円 |
7倍 |
※どちらも35年返済、返済比率35%で計算。
「年収の7倍が無理なく返済できる借入額の目安」といわれていますが、審査金利3.5%で計算してみると、上記の表のように年収の7倍前後に落ち着きます。
反対に金利0.4%で計算した場合、なんと年収の11倍以上!
5,700万円の住宅ローンを組んだとすると、月々の返済額はおよそ14万5,000円です。
年収500万円の人の手取り月収はおよそ33万円なので、ローンの返済だけで手取りの半分近くが消えてしまいます。
これでは、金利が上がった時や収入が少なくなった時、返せなくなるリスクが上がりますよね。
銀行は「最後まで無理なく返済してもらえる額」を前提に貸し出す金額を決めるため、広告でうたっているような金利ではなく、それよりも高い審査金利で審査を行っているのです。
何%で借りられる?を知るための金利
固定でも変動でも、自分が何%の金利で借りられるかを知るために必要な金利が3つあります。
それが「店頭金利」「優遇金利」「適用(実行)金利」です。
それぞれ、次のような意味があります。

①店頭金利
銀行が独自で決める住宅ローンの基準となる金利のこと。
銀行ごとに、固定・変動それぞれの店頭金利が決まっています。
②優遇金利
店頭金利から引かれる金利の引き下げ幅のこと。
個人の属性(年収・勤続年数・勤め先の規模など)を見て、銀行が何%にするか決めます。
属性がいい(高年収・公務員・大企業勤務・自己資金の割合が高いなど)と優遇金利が多くなります。
③適用金利
借入時に実際に適用になる金利のこと。
適用金利は、「店頭金利-優遇金利」の式で計算します。
A銀行の住宅ローン・変動金利を選んだ場合、
- 店頭金利:2.475%(A銀行が決める)
- 優遇金利:2.0%(あなたの属性で決まる)
- 適用金利:0.475%(店頭と優遇の差で決まる)
となります。
多くの方が気にされる「何%の金利で借りられるのか」は、ご自身の優遇金利によって決まります。
よく不動産の広告に「月々のローン返済〇万円~」と書いてありますが、それが自分にも当てはまるとは限りません。
自分の優遇金利が何%なのかを知っておくと、その物件を購入した場合のよりリアルな返済額を知ることができます。
さらに、別の物件を検討する場合も優遇金利がわかっていれば、審査をしなくても具体的な返済額を資産でき、資金計画が立てやすくなります(同じ銀行&借入額に大きな変動がなければ、優遇金利はほとんど変わりません)。
購入する物件が具体的に決まっていなくても、まずは住宅ローンの事前審査を出してみるといいですね。
適用金利だけで決めて大丈夫?

2つの銀行に審査を出して、両方から「適用金利0.7%です」と返事が来たらどうしますか?
適用金利が同じだとしても、次の2点に注意して住宅ローンを選びましょう。
1.優遇金利のタイプを確認する
変動金利または期間選択型固定金利の住宅ローンを選んだ場合、優遇金利には一般的に次の2種類があります。
①通期引き下げタイプ(変動金利※):返済期間中ずっと、優遇金利が変わらないタイプ。
②当初引き下げタイプ(期間選択型固定※):返済期間中、最初の一定期間の優遇幅が大きくなるタイプ。
例)最初の10年間は優遇金利2%→11年目以降は1.2%に減る
※変動金利は通期引き下げ、期間選択型固定金利は当初引き下げタイプが一般的ですが、銀行によってどちらか選べる場合があります。
どちらのタイプがよいかは、
・返済期間はどれくらいか
・当初引き下げになる期間はどれくらいか
・引き下げ期間終了後の優遇金利はどれくらい下がるのか
などの条件で変わるため、一概にはいえませんが、
一般的に、
・返済期間が長い人→通期引き下げタイプ
・返済期間が短く、繰り上げ返済を予定している人→当初引き下げタイプ
がよいといわれています。
2.住宅ローンの商品内容を比較する
適用金利が同じでも、
・団信(団体信用信用生命保険)の保障が手厚い
・住宅ローンの手数料や保証料が安い
・気軽に相談できる窓口がある
・契約特典(ATM手数料無料、定期預金の金利UPなど)が豊富
など、商品の内容やサービスに違いがあることがあります。
より安心して利用できる内容や使いやすいサービスのある住宅ローンを選びましょう。
ちなみに適用金利が上昇するかは、通期引き下げタイプの場合、店頭金利が上がるかどうかで決まります(優遇金利が返済期間中ずっと変わらないため)。
金利は固定→変動の順で上がるので、定期的に固定と変動、両方の金利ニュースをチェックしておきたいですね。
【まとめ】複数の銀行を比較して自分にあった住宅ローン選びを!
住宅ローンの話って本当にややこしいですよね。
今回は金利の話でしたが、住宅ローンを借りる時の保証料や団体信用生命保険の種類など、住宅ローンに何を求めるかで判断基準とするポイントも変わってきます。
どのプランがあうかは人によって異なるため、「これなら間違いない!」といった万人共通の正解がありません。
だからこそ余計にややこしく感じ、「適用金利が低いから」「みんな変動金利を選んでいるから」とあまり調べずに住宅ローンを決めてしまう方が多いのかなと思います。
とはいえ、何年もつき合っていくご自身のローンのことなので「なんとなく」で選ばずに、複数の銀行を比較し自分にあったプランを選びたいですね。
迷ったら、お金のプロであるファイナンシャルプランナーや銀行に相談してみるのも一つの手です。
困った時こそ、プロの意見を取り入れてみてはいかがでしょうか?
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